sweet you and me

膝を極々浅く曲げてのスクワットなら楽勝とおもえたのだが、今それを実際にやってみたら、７０回ぐらいから太ももとふくらはぎの筋肉が震え出して婚禮拍攝、１００回やったら結構応えた。

　あらためて、この程度の運動で笑い出す筋肉に呆れ、脚力の低下が思った以上に進んでいることに気付いた。

　明らかに、運動不足である。

　それにしても、わたしの運動不足は分かりきった事なのに、なぜ今まで脚力の衰えに思いが行かなかったのか？

　それは・・・

　例えば、庭の手入れで息を切らした折、

「運動不足よね～、おなか出て来たもん」

　妻の言葉に、突き出た腹をさする。

　また例えば、路上のちょっとした出っ張りに躓きそうになった折、

「足がおもったほど上がってないんだよね～」

「運動不足よ！だって、そのおなか・・・」

「・・・だよね～三山牌鉗」

　夫婦共々、腹を見つめてため息を吐く。

　わたし達は、運動不足によって生み出された“出っ腹”ばかりに目を向け、足の衰えに目を向けていなかったのだ。

　　　　　　　　　　――――――――――――
「この頃、スクワットやってる見たいね」

　妻が言い、

「そうなんだよ、この間の強風以来・・・」

「三日坊主にならないでね」

「それは大丈夫、もう四日過ぎたし。それに足腰を鍛えれば、このメタボな腹ともお別れ出来ると思うんだ」

「そうなの？」

「そうなのって、運動不足で足腰が弱ったから身体が動かなくなって腹が出て来たわけだから、足腰を鍛えて動き回れるようになれば、腹が引っ込むのは道理じゃないか」

「それはそうかも知れないけど」

「知れないけど？」

「寝る前に甘い物、特にチョコレートの馬鹿食い。それから缶ジュースを一日３本飲んだり、仕事が終ってツマミ食いをする癖をなくせば、もっと簡単にお腹は引っ込むと思うんだけど」

「・・・・・」

　わたしは妻の言葉なんか聞こえぬ振りをして、

「まぁ見といてくれ、これから毎日百回スクワットをして、昔みたいにマッチョになって見せる」

　そう、宣言した。